絵本「どうぶつさいばん ライオンのしごと」 [10~15分]
◆◆地球上に共に生きる、野生動物たちのことを考えてみませんか?◆◆
ひと言で言えば弱肉強食の野生の世界について、理解しやすく書かれた絵本です。
ライオンがヌーのお母さんを殺して食べました。
ハイラックスの裁判長のもと、裁判が始まります。
訴えたヌーの弁護士はゾウ。訴えられたライオンの弁護士はオオミミギツネ。
それぞれ証人を立て、それぞれの言い分を申し立てます。
「献身的なお母さんを殺されたヌーの子がかわいそう」から始まり、
それぞれの動物たちの立場からの証言で、野生の仕組みが明らかになっていきます。
病気で弱ったものを肉食獣が食べることにより、
その病気の菌がばら撒かれることを防ぎ、結局は野生の動物たちの保護になっている。
ですから、判決は「ライオンは無罪」です。
映像や本から知識を得ているものの、
それぞれの立場での証言は、ひと言、ひと言、心に響き、
命の重さをずしりと感じます。
前回、小学校の中学年の読み聞かせに使いました。
読み終わってクラスの様子を見ると、真剣な、そしてやや悲愴な顔、顔、顔・・・
う~んちょっとテーマが重すぎたかなぁ、とやや後悔。
今回は、高学年で読み聞かせてみました。
読み終わるとやはり、真剣な顔・・・
やはりこの絵本は、読みっぱなしにはできないようです。
「今、感じたいろいろなことを、大切にしてください。
何が正解で何が間違いと言うことはないと思います。
いろいろなことを学んで、大人になったときに、もう一度この絵本を読むと、
また違った感想を持つかもしれません。
私自身この絵本を始めて読んだとき、ショックでした。」
ということを今回は伝えました。
どういう風にショックだったかは言わずにおきました。
いろいろな考え方があり、そのどれが、地球上の生き物の一員である人類として
正しい考え方なのかは、子どもたちがこれから決めることのように思います。
「数が増えないから食べていける」という言葉が、私の頭から離れません。
この絵本の絵を描いたあべ弘士さんは、私の大好きな絵本作家のひとりです。
あべ弘士さんが旭山動物園の飼育係だった頃の絵本から、ず~っとファンです。
無造作に描かれたように見える曲線が、動物の表情を実によくとらえています。
絵の動物が生きているのです。
また別の機会に、あべ弘士さんの絵本を紹介できたらいいなと思っています。
この絵本、はじめて見ました。
こどもたちに読み聞かせをする際、絵本の選択悩みますよね。
重たいテーマのお話も、やはり、子ども達の栄養になるとおもいますし、面白い絵本はおもいきり笑って元気を与えることが出来ると思うし、じ~んとくる絵本もとても大事だと思います。
絵本を通じて、子ども達に色々なことを伝えていけたらいいですね。
by のんちゃん (2005-10-16 23:18)
のんちゃんさん、こんにちは。こういう絵本を子どもたちに偏見なしに伝えるのって難しいなぁと改めて思いました。このブログを書いた後も、なんだか気になって。でも、こんな厳しい野生のルールの中で生きている動物たちも、同じ地球の住人なんですよね。人間の幸福ばかりを願う大人になって欲しくない。そんな思いで、また機会があれば、懲りずに、読み聞かせに使おうと思っています。
by みどりまる (2005-10-21 17:11)