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絵本「オットー戦火をくぐったテディベア」 [10~15分]

オットー―戦火をくぐったテディベア

オットー―戦火をくぐったテディベア

  • 作者: トミー・ウンゲラー, 鏡 哲生
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 大型本


題名からもわかるように、戦争を扱った絵本です。

1匹のテディベア、オットーは、ユダヤ人の子デビッドへの誕生日プレゼントでした。
ところがデビッドがユダヤ人収容所へ送られることになり、
友達のドイツ人の子オスカー、アメリカ兵(オットーは命の恩人?になります)、その兵隊の帰りを待っていた娘、ホームレスと見受けられるおばあさん、骨董屋へと、次々に渡っていきます。
そして何十年かの時が流れ、ついに年老いたオスカーに見つけ出され、再びデビッドのもとへ戻ります。

デビッドの両親は収容所で殺され、オスカーの両親も戦争で亡くなり、
アメリカ兵は戦争で負傷しました。(このときにテディベアのオットーも傷つきます)
オットーをゴミ箱に投げ込んだ不良少年グループも、
ホームレスのおばあさんも戦争の犠牲者かもしれません。

戦争というものは、実に様々な人々の心を傷つけていくものです。

ぬいぐるみに視点をおくことによって、
ふつうに生活している人々が戦争に巻き込まれていくことがどういうことかを
戦争を知らない私にも実感させてくれました。


戦争の無意味さと同時に、ふつうに生きている人々の心の底の暖かさも伝わってきます。

トミー・ウンゲラーと言えば、ちょっとひねりの効いた作品を生み出し続けている絵本の大家です。
さすがとしか言いようがない作品です。

読み聞かせに使いたいところですが、私は、涙なしには読めません。
でも、いつか使ってみたいと思っています。
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その後、中・高学年(小学校)の読み聞かせに使いました。
表紙を見せた途端、「どうしてそのくま汚れているの?」という質問。
子どもの素直な反応に脱帽。

ヨーロッパでの戦争については知識が少なく、
ユダヤ人の悲しい歴史のことも、ほとんど知らないようでした。
この機会に小学生向きに書かれた「アンネの日記」も
いっしょに紹介してもよかったかなと思いました。


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コメント 1

yuta

はじめまして,絵本おじさんのブログ経由でお邪魔しました。オットーが持ち主と再会する場面をテレビの番組で見ました。それだけでも結構感動できました。人と人との出会いも不思議ですが,人と物との出会いもまた不思議なものですよね。また,お邪魔させていただきます
by yuta (2005-12-21 16:50) 

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