絵本「王さまと九人のきょうだい」 [10~15分]
◆◆あの手この手で苦難を乗り切るお話◆◆
中国の民話です。
老夫婦が、池にすむ老人から9人の男の子を授かりました。
名前は「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」
「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」。
9人は外見はそっくり。しかしこの名前の通りの特技を持って大きくなります。
「ちからもち」がその特技を生かし王様を助けたにもかかわらず、
そのわるい王様は「ちからもち」を信用せず、次から次へと難題を課していきます。
そっくりの9人、難題ごとにそれにあった特技を持った兄弟の一人が
王様の前に出て行き、難を乗り切ります。
そしてとうとう最後の「みずくぐり」によって、悪い王様は大川の波にのまれ流されていきます。
悪い王様がいなくなり、人々は平和に暮らしたというおはなしです。
しっかりした、わかりやすい昔話だと思います。
この9人の名前は、それぞれの特技をよく表しているため、話をわかりやすくしていますし、
音の響きがおもしろく、子どもたちの笑いを誘います。
これでもかこれでもかと次々に繰り出される技には現代っ子も感心する様子。
たいてい最後まで惹きこまれるように聞いてくれます。
3年生のクラスで読み聞かせをしたところ、
本とはあまり縁のない子が目を輝かせて「おもしろい!」と言ってくれました。
(こういうことがあるから読み聞かせはやめられない・・・)
それぞれの特技を生かして苦難を乗り越える昔話は他の国にもあるようです。
グリムの昔話「六人男、世界をのし歩く」や
上方落語「地獄八景」が似ているのではないでしょうか。
「地獄八景」の軽業師、歯科医、山伏、医者が活躍する場面は
絵本「じごくのそうべえ」で楽しむことができます。
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