絵本「ロバのシルベスターとまほうのこいし」 [10~15分]
◆◆ぼくを見つけて~!◆◆
ロバのシルベスターとまほうのこいし (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
- 作者: ウィリアム・スタイグ
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1975/01
- メディア: -
親子の愛情を描いたこの絵本、
親、または子のどちらの立場で読んでも心温まるストーリーです。
子の立場から読むと・・
退屈な日、ちょっと冒険がしてみたかった。たまたま拾った石は魔法の小石。
ライオンが来たのであわてて「岩」になってしまったら元に戻れない!
とうさん、かあさん助けて~
数ヶ月後…元の姿にもどれないまま岩になってしまうの?と
思っていたら、なんと父さん母さんが近づいてきた。
気づいて~!ぼくはここだよ~! と言いたくても声が出ない。岩だもの。
もうだめかとあきらめかけた頃、ひょんな拍子にもとのロバに戻れた!
父さん、母さん、ありがとう!
親の立場から読むと・・・
ある日突然、一人息子が失踪! どうして? どこへ?
隣近所をたずねても、警察に届けても、息子は見つからない。
何ヶ月も悲嘆にくれて暮らしている。
ある日、父さんが、「こんなことではいけない。立ち直ろう!」と
お母さんをピクニックに誘い出す。
ランチを食べようと座った岩。「あの子が戻ってくれたら~」と
思った瞬間。岩が忽然と消え、息子がそこに!
こんな嬉しいことったらありゃしない!
親と子、愛し合っていてもすれ違ってしまうことがあるものです。
この絵本の「岩」を子どもの反抗期と見ることもできるでしょう。
子からみると・・・もう小さな子ではないのだから自分の思うようにしてみたい。
子ども扱いをするのはもうやめてとついつい反抗していたら、
親が怪物でも見るような目つきで私のことを見るようになった。
そんな目で見ないで。反抗していても私は私。あなたの子どもなの。たまには甘えさせて~
親から見ると・・ある日我が子が見知らぬ怪物のように見えた。
これがあのかわいかったあの子なの?
どうして私のかわいい◎◎ちゃんのままでいてくれないの?
お願い。もとの◎◎ちゃんにもどって~!
時は流れ、子どもの反抗期も山を超え、親も子どもが自立しつつあることを知り、
ある日和解のときが・・・
完全な和解といわずとも、なんとなく親子の関係が穏やかになる日が来るものです。
この絵本を読むと、ついついこんなことを考えてしまいます。
読み聞かせ仲間の間でも、評判のいい絵本です。
低学年から高学年まで、それなりの受け止め方をしてくれるようです。
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